水晶の少年 【第一幕 完結】※続編「SEASON」
「お前らも知っての通り、
浩太の女が、薬物の犠牲になった。
これ以上、
この界隈で犠牲者が出るのは
耐えられない。
この街から、
ナイトメアに関わる連中を追い出す。
これがオレが記憶する、
売人の二人だ。
こいつらだけ捕まえても、
氷山の一角にすぎないのは承知してる。
だが……それでも、
やらないよりはマシだろ」
オレが話すのと同時に、
オレが見た、薬の売人の似顔絵が
一人一人に手渡せれていく。
「相手は暴力団と繋がってる噂もある。
だから無理強いはしない。
クリスマスを大切な人と過ごしたい奴は
参加しなくていい。
命を投げやりにしてねぇ、
生きたいって思える奴だけが力を貸してくれ」
そう続けたオレの言葉に、
不参加を申し出る奴は一人もいなかった。
そうだな、こいつらは、
こう言う奴だよな。
そう、オレが信じる最高の奴ら【ダチ】。
先代の朔良さんから任された仲間【ダチ】。
ふいに仲間の一人。
バイクのことに詳しい巧真(たくま)が
携帯を握りしめながら、声を震わせた。
「氷雨さん、奴らまた現れたみたいです。
中学ん時につるんでた奴から
連絡は入りました。
場所は……」
巧真が言い出したのを皮切りに、
仲間たちから次から次へと
上に寄せられてくる目撃情報。
中学生の女の子が被害にあいそうだ、
高校生の二人組が、売人から受け取ったものを
さばいているだ……あっと言う間に、
膨大な量の情報が次から次へと寄せられてきた。
紅蓮のネットワークは、
蜘蛛の巣だった……な。
「よしっ。
んじゃ、お前ら5グループくらいに別れて
手分けして現場に行ってくれ。
いった後も、ターゲットを確認したら
幹部の指示を仰げよ。
一人で突っ込もうとは思うな。
いいなっ、お前ら。
いいですよね、氷雨さん」
釘を刺すような余計な一言と共に
オレに向けられた優の言葉。
「あぁ……。
今日でケリをつける。
浩太の悠美【彼女】の為にも」