水晶の少年 【第一幕 完結】※続編「SEASON」
那賀(なか)高の奴に、
重い一撃を拳で打ち込んで、
押し倒す。
その隣、すかさずブツを取り上げて、
回り込むと、中学生の女の子を守るように
優は回り込んだ。
逃げようと隙を伺って暴れる二人組を、
同時に相手しながら投げ飛ばすと、
回り込んで背後から両手を後ろにねじり上げた。
そこに優からの一撃が再度入れられる。
胃液を吐きながら床に倒れこんだ奴らを
身に着けていたベルトで動けないように
柵に縛り付ける。
末端のそいつらから仕入れた情報は
取引のやり方。
末端のコイツらは、
ただの小遣い稼ぎで販売していたこと。
販売で稼いだ金額は、
いつも指定される時刻に
ロッカーに持って行って中身を入れる。
ロッカーの鍵は、
その時通りがかる、バイクの人へ。
そうやってやり取りしているから、
実際の取引相手の
顔を知らないとのことだった。
被害にあいかけた中学生を帰して、
那賀高の奴は、そのまま放置して
オレと優は、場所をかえて行った。
手に入れたブツだけは
ポケットへ。
その隣、優は携帯を取り出して
親父さんに一報をいれているみたいだった。
オレはその隣で、
有政に電話をかけた。
気になるのは……ただ一つ。
この錠剤も、
ナイトメアなのかどうかってこと。
俺が目撃した時は、
確かに真っ白い粉だった。
その夜、有政の元に仲間たちによって
寄せられた情報から末端の売人らしき奴らを
見つけて順番に処理していくこと8人ほど。
そのどれもが、手口は同じで
取引相手の名前も顔も知らない
未成年の奴らばかりだった。
こんな狭い中で、
こんなにも巻かれてた末端の売人たち。
いたたまれない思いで
電話を切る。
「……氷雨さん……」
近づいてきた優。