水晶の少年 【第一幕 完結】※続編「SEASON」
26.サヨナラも言えなくて -氷雨-
- クリスマスイヴ -
妃彩に紅蓮の仲間を紹介した翌日。
冬休みが始まった学校。
そんな今日もオレは一人、
学校へと登校していた。
学校を休んでいた間の単位取得の為の
補講とレポート提出、そして期末テスト。
高校を卒業して大学卒業と同じくらいの
資格を取得しておきたいと思うのは将来の為。
それがオレが諦めないと誓った
夢の一歩だから。
午前中の補講を終えると、
その足で、制服のまま学校近くに停めておいた
バイクにまたがった。
今から一度、自宅に戻ってから
妃彩のところに顔を出すか。
そんなことを想いながら、道路を流していたオレは、
ビルの影に隠れるように身を潜める親父の姿を見つけた。
そういや親父、
まだ帰ってなかったんだよな。
そう思いながら、
声をかけようかとバイクを置いて
親父の方をじっくりと見つめた。
その親父の視線の先に居たのは、
薬の取引現場に居た……もう一人。