水晶の少年 【第一幕 完結】※続編「SEASON」 


「うるせぇ。
 妃彩が覚えてねぇだけなんだよ」


えっ?

思わず、言葉にしてしまったそれを
今さら撤回することすら出来ない。


何言ってんだよ。


思考とはうらはらに、
次々と墓穴ほってる気がする。



「まぁ。
 君の言い分聞いてると、
 何か二人の間にはあるのかしら?」

「あぁ。
 仕方ねぇだろ。
 気になんだから。
 気になるから、コイツに俺を惚れさせんだよ。
 これから」



売り言葉に買い言葉。
勢いで宣言した言葉は、もうどうすることも出来ず……。

妃彩は妃彩で、
驚いたような顔を見せるばかりで。


そんな俺の突然の告白宣言?から
さらに1週間。


バイト・学校・病院・紅蓮にも生息しながら
久しぶりに楽しいと思える時間を過ごしていた。



学校の授業が終わると、
チーム仲間の奴らとの約束は夜に取り付けて、
教室を飛び出していく。




「氷雨。

 何処行くんだよ。
 お前、今日はバイト休みだろ。
 
 休みの時くらい、受験勉強しろよ。
 どうなっても知らないぞ」


「兄貴に心配してもらう必要なんてねぇよ。
 今日も夜遅いから。
 おふくろに、飯は入らないって言っといてよ」



なんて返しながら、
一気に学校から走り出していく。

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