水晶の少年 【第一幕 完結】※続編「SEASON」
この部屋に押し込められたまま、
朝陽が昇るのを見て、
夕陽が沈んでいくのを見つめる。
夕陽のあとは、世界が真っ暗になって
お月様が優しい光を感じさせてくれる。
だけど……その隣、太陽みたいに輝き続ける
氷雨君は居ない。
そうやって……過ごし続ける時間が、
今の私の時間。
冷たい空間……。
ガチャリ。
外からの鍵を解除する音が聞こえる。
数人の足音が聞こえて、
思わず私は、掛け布団を引きづりあげて
眠っているフリをする。
「早く消えてくれればいいのに。
アンタみたいなヤツの世話を
しないといけないなんて私たち最低よね。
ほらっ、起きなさいよ。
話し相手に来てあげたわよ」
そうやって布団をめくり上げた掛け布団。
隠れるところがない落ち着かないベッドの上で
小さく身を縮めていく。
「ねぇ、春宮妃彩。
アンタがどれだけ私たちに
迷惑をかけてきたか、
身に染みて自覚したかしら?
散々、迷惑かけてきた私たちの居る
この施設にもう一度戻って来られたのも
所長の寛容さがあったからでしょ。
今、アンタがこの場所に居れてる。
それだけでも、
アナタにとっては幸せなことなのよ」
罵る言葉は日に日にエスカレートしていく。