水晶の少年 【第一幕 完結】※続編「SEASON」
でも……これは私自身が
巻いた種。
あの日、この命を終わらせることが出来なかった私は、
この場所にとても迷惑をかけた。
沢山、迷惑を駆け続けた。
氷雨君と出逢って、
TVをつけることのなかった病室で、
病院で楽しい時間を過ごしていた時も、
この場所には、マスコミが押しかけてきて
施設の管理体制やら、何やらを根掘り葉掘り
あることないこと、面白くネタにしていったらしい。
それでも……行く場所のない私を
受け入れてくれた。
こんな場所でも、ここを追い出されたら、
私は一人で生きていくことすら叶わない。
罵倒されるままにその鋭利な言葉を、
その身に受けて私の反応が殆どなくなる頃に、
憂さ晴らしを終えたスタッフたちは
部屋を出て、外から鍵をかける。
防犯カメラには
映っているはずなのに、
誰一人として助けに来てくれる人がないなのは、
この行為が黙認されているから。
私に残されてる時間は
後、どれだけ長いの?
この冷たい空間で、
耐え続ける時間は
後、どれだけ?
忘れようとしても、
忘れることが出来ない
氷雨くんを心の中に思い浮かべる。
氷雨君……。
もう一度、逢いたいよ……。
ただ……傍に居て、
抱きしめて。
プレゼントも何もいらない。
ただ氷雨くんが
傍で笑ってくれたら……。
夢でもいい……。
夢の中でもいいから、
氷雨くんを感じさせてください。
溢れだす涙を拭う事も出来ずに
枕に顔を埋めつづける。
引きはがされた布団を
手だけで何とか探し当てて、
掛け布団をどうにか引き上げると
そのままゆっくりと眠りの世界へと
誘われていった。