水晶の少年 【第一幕 完結】※続編「SEASON」 


「僕ももう終わるよ。
 体育祭が終わったら次は文化祭だろ。

 ったく、普通は二学期には二年に引き継がれるはずの生徒会が
 なんで浅間は、文化祭までなんだよ。

 受験勉強の時間くらい、学校が守れっての」


そんなことをいいながら、
仕事を終えた時雨は、最後に飛翔が手にした要望書に目を通して
それを生徒会から、学校の運営側。

理事長へと届ける要望書ケースの中へと片付けた。



「よーし、終わった。
 んじゃ、付き合ってやるよ」


そう言うと、私たちは久しぶりに三人で
出掛けた。



ここ暫くは、私がバイトを理由に
距離を置いていた時間が長かったから。



今日はバイトもない。


たまには……
三人で過ごす時間も楽しいかも知れない




花火会場となる駅前には、まだ15時前だと言うのに
大勢の人で埋め尽くされていた。


道路の両脇に立ち並ぶ屋台。
歩行者天国として解放されている道路。



「あっ、タケちゃん」


そう言って誰かが、中村の名を呼ぶ。


「ミサ、遅くなった。
 連れてきたぞー、時雨と飛翔」


中村君がそう言った途端に、
中村君の彼女らしいミサの周囲にいた女の子たちの
視線が一斉に集まって、私たちを囲むように近づいてくる。




「わっ、ホント。
 浅間の時雨さんと飛翔さん、生徒会コンビだ。

 ミサ、凄い。
 本当に彼氏、浅間の生徒会コンビと仲良かったんだ」



そんなことを言いながら、
囲み始める女の子たち。



そんなに囲まなくていいし、
もっと普通でいいから。


化粧の匂いがきつすぎ……。

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