水晶の少年 【第一幕 完結】※続編「SEASON」
「親父」
「あぁ、氷雨かっ。
どうした、バイト今終わったのか?」
「まぁ。
親父は?」
「一度署に戻ってから、
今日は帰る予定だ。
どうだ?飯でもいくか?」
親父と食事なんてどれくらいぶりだ?
促されるままに、
近くの店へと入る。
肉じゃがやら、焼き魚やら。
おふくろの味系の料理が出てくる
その店で、親父のグラスにビールを酌しながら
久しぶりに過ごした時間。
そこで初めて、
警察官になりたいと思っている夢を告げた。
親父は喜んでくれたけど、
それと同時に、
『母さんには反対されているだろう』っと
苦笑いをした。
それでも母さんも、昔は警察官になりたいと思ってた
親父をずっと応援して支えてくれてたんだぞって
親父は懐かしそうに語ってくれた。
親父と出逢ってからの、
今日までの年月。
大切だからこそ、
そう言わずに入れない女心と、
それを知りながらも、
自分自身を一本通してしまう男のプライド。
そんな相容れない心を
互いに感じて受け止めながらも
真っ直ぐに歩き続ける親父とおふくろが
なんか、とっても凄いことに思えた。
久しぶりの親父との食事も、
職場からの電話で中断。
ビールのアルコールを飛ばすように、
水を一気に飲み干すと、
家に帰れるっと言っていた予定を変更して
親父は飛び出していった。
そんな背中を見送って、
オレも店を後にした。
時間は22時前。
まだアイツラは溜まってるよな。
そのまま紅蓮の
仲間たちが居る場所へと顔を出す。
「あっ、氷雨さん。
久しぶりじゃないですか?」
「例の彼女、
何時此処に招待してくれるんスか」
バイクを止めた途端に、
輪が出来始めるオレの周囲。
そいつらと会話を交わしながら、
幹部室へとあがっていく。