ファーレス騎士団のゆるい日々
「こんなにでかい女がどこにいる」

 いるだろうっ! エディの言葉に、その場に居合わせた騎士団員たちは互いに顔を見合わせた。

 エディ、エドワード・ウィルクス――本名、エドナ・ウィルクス。伯爵家の令嬢である。もっとも本人は自分の素性が知られているとは思っていないから、よりいっそう質が悪かったりするのであるが。

 エディが自分のことを「でかい」と言ったのは、長身ぞろいの騎士団員たちの中でひときわ目立つ長身だからだ。

「いーだろ、別に。俺がエスコートしてやる」
「わかった。やってやる――」

 オーウェンがにやりとすると、エディは顎に手を当てた。

「さすがに化粧の仕方まではわからないな。兄に侍女を回してもらうように頼んでおく。ちょうど今都に来ているし」

 兄に使いを出すと言ったエディが広間を出ていくと、騒然となった騎士団員たちは、団長であるオーウェンに詰め寄った。

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