ファーレス騎士団のゆるい日々
「リリー、この間のデートはどうだった?」

 エディに呼びかけられたリリーは、返事のかわりに不満そうに唇を尖らせた。

「最低よ、お菓子屋さんばっかり回らされたの。女には甘い物でもあてがっておけばいいと思っているんじゃないかしらね」

 リリーはどちらかと言えば、細身で華奢な少女だ。ほっそりとした頬を背一杯膨らませている様子は愛らしい。

「やれやれ、困ったものだね。女心がわからないというのは」

 エディは首を左右に振る。そうしながらも視線を忙しく走らせて、さらに別の少女に声をかけた。

「ジョージーナ、どうした?」
「……手紙をもらったんだけど、誤字脱字だらけよ。最悪だわ。字が汚いのはまだ許してあげてもいいんだけど」

 そう言ったのは、生真面目そうな雰囲気の娘だった。手に本を二冊抱えていることからして、読書が趣味なのかもしれない。
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