ビターレプリカ【短編】
ビターレプリカ

「あっ、あのっ…こ、これ良かったらどうぞ…!」

そう言って顔を真っ赤にしながら、綺麗に包装された箱を俺の前に差し出した。

えっと、この子誰だっけ……


「ありがとう」


とりあえず笑顔で受け取ると、その女の子は顔を上げて嬉しそうにしていた。


それじゃあ、と言ってすぐに走って行ってしまった。


「困ったな…」


今日は、男子も女子もソワソワする年に一度のバレンタインデー。

朝から何個貰ってんだよ、俺。

別に、モテるとか自慢したい訳じゃないけど……

チョコレートアレルギーなんだよな。


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