ビターレプリカ【短編】
本当に俺、何やってんだんだろ。
しかも、未桜にあんな顔させて。
馬鹿じゃねぇの……
「そのクッキー、泣くほど不味い?」
「え?」
背後から声がして、振り返ると、
「切野(きりの)……」
俺は急いで涙を拭うと、あははと笑って誤魔化した。
そんな俺を見て切野もふっ、と笑い、
「はい、これあげる」
と、チュッパチャップスを俺に渡した。
「え……?」
「チョコアレルギーでしょ?クッキーとか渡したら、『もしかしたらチョコ入ってるかもしれないし食べるのやめた』とか言われそうだし。市販のものにしました~。って……さっきコンビニで買ってきたやつなんだけどね」
「何で……?」
「え?理由?うーん、そうだなぁ。……あんたが好きだから、かな」
ニッと笑顔を見せて、なんちゃってーと言いながらも少し照れていたのが分かった。