ビターレプリカ【短編】
切野は幼稚園から高校まで、ずっと同じだった。
……だけど、あんまり話したこともなく、特別仲が良い訳では無かった。
だから、正直今かなり吃驚している。
「何か……傷心中にこんな事言うのってずるい女みたいだね」
やっぱり、切野は未桜の事が好きだという事を知っていたんだ。
あーあ。俺、情けなさすぎる。
「……あー……別に。つか、これありがとう」
「いえいえ」
そういえば、ずっと食べてなかったなーと思いながら、
無言で切野に貰ったチュッパチャップスを眺めていると、
「勘違いじゃないかな」
そう小さい声で、俺とは目を合わさずに呟いた。