初恋~番外編~
数日後の休日。

初めてのデートの日。

私たちはとある場所に向かっていた。

「ねぇ、景一くん。連絡もなしにいきなりで大丈夫かな?」
「大丈夫。今日、田宮と沙羅が家にいるのはリサーチ済み」

そう。
私たちは、新婚田宮夫妻の家に向かっていた。
しかもアポなし!直撃である。
まだふたりには、私たちがつきあいだした事は伝えていない。
アポなしでふたりで訪問してふたりを驚かせよう、という事になって。
この事は景一くんが言い始めた。

「それにしても、景一くんがこんないたずら思いつくとは思わなかったわ」
「麻衣に影響されたんだ」
「なんかそれって、私がコドモって言ってない?」
「麻衣は俺の影響で鋭くなったな」

ニッて、いたずらっこの様に景一くんが笑った。

この数日間で、景一くんはいろんな顔を見せてくれる。
こんな風に子供っぽいところや
意外に嫉妬深いところとか。
中学のときの方がたくさんの時間を一緒に過ごしていたのに。
少しの間に知らなかった景一くんを色々発見して、また好きになってる。

私の初恋は現在進行形だ。

「へぇ、ここがふたりの新居か」

住所を確認して景一くんがマンションを見上げた。
そしてにっと笑って私を見た。

「麻衣、インターホン押すか?」
「ううん、一緒に『せ~の』で押そう!」

きっと私もいたずらっこの顔してる。
だって、驚いた沙羅と田宮君の顔想像したらわくわくしてきちゃう。

インターホンにふたりで指をおいて顔を見合わせた。

「「せ~の」」


ピンポ~ン♪


軽快なチャイムの音に心が踊った。
インターホンから離れた指は、しっかり景一くんの手の中。



早く沙羅に報告したいな。


『私の初恋も実ったよ』って。



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