初恋～番外編～

医大を卒業した俺は実家の経営する病院には帰らず、大学病院に勤務する事にした。


医者としてはまだまだ未熟で、一人前になど程遠い。
先輩医師の言われるがまま、必死にただがむしゃらに患者と向き合う。
日々が勉強の毎日だ。

だから沙羅の結婚式の今日も夕方からの当直勤務を断らなかった。



今日の様に、女から連絡先を渡される事はしょっちゅうあった。

沙羅があいつの元に戻ってから、俺の周りには女が常につきまとった。

だけどそれらの全ては、俺の外見だの、医者という肩書きだの、『藤堂』という名前だの、そんなものにつられて寄ってくるやつらばかり。

そんな女たちを相手にする気にはなれなかった。