初恋~番外編~
会場を出て小さく息を吐いた時、再び声を掛けられた。
「あれ?景一くん?」
またか・・・と思って振り向けば、そこには見覚えのある姿があった。
「西野か。お前も2次会に参加しないのか?」
「うん、今からお仕事に行かないと」
俺と同じような事言いながら、沙羅の親友、西野麻衣が俺の横に並んだ。
「景一くんも今から?」
「あぁ、そうだ」
中学からつきあいのあるやつなら、俺が医者をやってるのは皆知っている。
なんとなく一緒に歩いていると、西野がぽつんと言った。
「辛いお仕事だよね、お医者さんって」
「え?」
意外な言葉だった。
今まで『医者』だといえば、たいてい「すごいですね」とか「大変ですね」とは言われるが『辛い』と言われたのは初めてだった。
思わず足を止め西野を見ると、西野は慌てたように言った。
「あっ・・・ごめんね。なんか変な事言ったかな・・・?」
そわそわと落ち着かない西野に、詳しく聞きたくなった。
「『辛い』と言われたのは初めてだったから。なんでそう思う?」
再び歩き始めた俺につられる様にして西野も歩きながら話した。
「だって、お医者さんって人の命を預かるお仕事じゃない?
でも、どうやっても助ける事の出来ない命っていうのは悲しいけどあって・・・。
助ける事の出来た命と出来なかった命。
そんなのを毎日繰り返し見ているお医者さんってすごく辛いんじゃないかなって・・・・ごめんね。
なんか私の思い込みで話しちゃって」
なんの反応もせず聞いていた俺に、西野は俺が気を悪くしたと勘違いしたらしい。
あせって俺の前に進み出て、まっすぐ俺を見て謝った。
俺はふっと微笑んで西野の肩を叩いて歩くように促した。
「西野の言った事は当たってるよ。時々医者でいる事が辛くなる」
「そうなの?景一くんでも悩んだりするの?」
「俺だって人間だからな」
ふっと小さくため息をついた。
「あれ?景一くん?」
またか・・・と思って振り向けば、そこには見覚えのある姿があった。
「西野か。お前も2次会に参加しないのか?」
「うん、今からお仕事に行かないと」
俺と同じような事言いながら、沙羅の親友、西野麻衣が俺の横に並んだ。
「景一くんも今から?」
「あぁ、そうだ」
中学からつきあいのあるやつなら、俺が医者をやってるのは皆知っている。
なんとなく一緒に歩いていると、西野がぽつんと言った。
「辛いお仕事だよね、お医者さんって」
「え?」
意外な言葉だった。
今まで『医者』だといえば、たいてい「すごいですね」とか「大変ですね」とは言われるが『辛い』と言われたのは初めてだった。
思わず足を止め西野を見ると、西野は慌てたように言った。
「あっ・・・ごめんね。なんか変な事言ったかな・・・?」
そわそわと落ち着かない西野に、詳しく聞きたくなった。
「『辛い』と言われたのは初めてだったから。なんでそう思う?」
再び歩き始めた俺につられる様にして西野も歩きながら話した。
「だって、お医者さんって人の命を預かるお仕事じゃない?
でも、どうやっても助ける事の出来ない命っていうのは悲しいけどあって・・・。
助ける事の出来た命と出来なかった命。
そんなのを毎日繰り返し見ているお医者さんってすごく辛いんじゃないかなって・・・・ごめんね。
なんか私の思い込みで話しちゃって」
なんの反応もせず聞いていた俺に、西野は俺が気を悪くしたと勘違いしたらしい。
あせって俺の前に進み出て、まっすぐ俺を見て謝った。
俺はふっと微笑んで西野の肩を叩いて歩くように促した。
「西野の言った事は当たってるよ。時々医者でいる事が辛くなる」
「そうなの?景一くんでも悩んだりするの?」
「俺だって人間だからな」
ふっと小さくため息をついた。