年の瀬のヴァンパイア
「麻衣ちゃん、手は大丈夫?」

「え……っ?」

驚いた様子で少女は自分の両手を見やる。

白くて、いかにも柔らかそうな、花びらのような手だ。

傷一つない。

井戸縁の血は、手を怪我したからではなかったのだ。
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