年の瀬のヴァンパイア
「麻衣(マイ)ちゃん!」

呼びかけたのは、あたしではない。

いつの間にか隣家の戸口に、家主の娘で麻衣ちゃんの伯母の、綿子(ワタコ)さんが立っていた。

「そんなところで何をしているんだい? 風邪をひくよ! 早くお入り!」

言ってる言葉は優しげだけど…

麻衣ちゃんは明らかに怯えている…

「ほら! 早く!」

「……はい」

そして二人は屋敷の中に消えた。
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