PIESE 〜記憶のカケラ〜
前髪の間から少しだけ見える、黒い目。

目付きが悪い訳ではないし、と言っていい訳でもない。

だけど、他の人とは明らかに違うオーラを放っていることは確かだ。

「…よろしくな。」

ただそう言っただけだったが、それだけでとても引き込まれる。

なんて言うんだろう…格好付けている訳でもないけど、普通にかっこいい。

しかも、春樹先輩も龍虎先輩も、男子の中ではイケメンに分類されると思う。

その容姿で、喧嘩も強いんでしょ?

そりゃ、女子からも男子からも羨ましがられるよね。

「…帰るぞ。」

「はーい。」

龍虎先輩は少し眉間に皺を寄せながら言うと、春樹先輩を連れて屋上を後にした。

振り返る時、一瞬だけ見えた龍虎先輩の目の下の隈。

さっきも皺寄せてたし…余り寝れてないのかな?

そんな龍虎先輩とは裏腹に、春樹先輩はあたし達に「ばいばーい。」と手を振っていた。
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