私はまだ生きています。
涙が出てきた
折角乾いてきた血の上からまた腕を切った

怒り 悲しみ 苦しみ
全てを剃刀に込めて沢山切った

コンコン
個室のドアをノックする音でハッと現実に戻った

「絵梨ー?」
「なに?」
「トイレ待ってる人が居るから一回出てきて?」
「わかった」

急いで剃刀をしまってポーチを持って
個室から出た

「大丈夫?」
「うん」

友達の顔も見ないで急いでトイレから出ようとした

「おい!この腕どうしたんだよ」
思いっきり腕を捉まれた

「なんでもない」
そう言って腕を振り払って急いで袖を下ろした

急いで個室から出たから
袖を下ろすことを忘れていた

小走りでテーブルに置いてあった
私の鞄を取って「先に帰るね」と呟いて
誰の顔を見る事無く
走って原付に乗り急いで家に帰った
< 13 / 35 >

この作品をシェア

pagetop