大嫌い。でも…ほんとは好き。(旧題:ラブ・ストリーミング) 番外編
「その日だって、抜き打ちチェックするんでしょ?」
「社内でなきゃいいだろ」
「デートでもしてくれるんですか?」
「いや」
言いながら、矢野課長の唇がくっつきそうになって、私は瞳を揺らがせる。
「ダメだな。おまえのその顔見てたら、俺の方が我慢出来そうにない」
「不純。自己中」
こんな課長の事情を知ったら、女子の恨みは怖いんだから。
「……なんとでもいえ」
押し重なる唇。一度、やさしく触れて、貪るように重ねて、舌を捩じ込ませて、激しく絡めてくる。
「……んっ……っ」
がたっとテーブルにあたってよろめきそうになると、課長が腰を掬いあげるように抱きしめて、唇を求めた。
会議室の外は、仕事に向かっている。私たちは、一番まじめでなくちゃいけない場所で、ふまじめな唇を重ね合う。
時々、苦くて、時々、甘くて、それで……わがままを言いたくなる大きくて優しい腕の中。
ブルガリのジャスミンの香りがする。胸に頬を寄せて、課長の鼓動に耳を澄ませた。
普段からは想像できないほど早鐘を打つそれを聴いて、私は自分の背の小ささをこの時ほど愛しく思ったことはないかもしれない。
「社内でなきゃいいだろ」
「デートでもしてくれるんですか?」
「いや」
言いながら、矢野課長の唇がくっつきそうになって、私は瞳を揺らがせる。
「ダメだな。おまえのその顔見てたら、俺の方が我慢出来そうにない」
「不純。自己中」
こんな課長の事情を知ったら、女子の恨みは怖いんだから。
「……なんとでもいえ」
押し重なる唇。一度、やさしく触れて、貪るように重ねて、舌を捩じ込ませて、激しく絡めてくる。
「……んっ……っ」
がたっとテーブルにあたってよろめきそうになると、課長が腰を掬いあげるように抱きしめて、唇を求めた。
会議室の外は、仕事に向かっている。私たちは、一番まじめでなくちゃいけない場所で、ふまじめな唇を重ね合う。
時々、苦くて、時々、甘くて、それで……わがままを言いたくなる大きくて優しい腕の中。
ブルガリのジャスミンの香りがする。胸に頬を寄せて、課長の鼓動に耳を澄ませた。
普段からは想像できないほど早鐘を打つそれを聴いて、私は自分の背の小ささをこの時ほど愛しく思ったことはないかもしれない。