ガラスの靴をもう一度
会が始まって30分。
だんだんと雰囲気も出来てきて、部長や課長は上機嫌で雅貴や麻生さんにお酌をしていた。
そして飲みが大好きな原田さんも、いつの間にかビール瓶片手に、上司と飲み合っている。
ほとんど下座に座っている私は、時折後輩と会話を交わすだけで、一人黙々と飲んでいた。
「萌ちゃん、どうしたんだよ。一人で飲んでさ」
「あ、川上くん…」
川上くんも異動してきたばかりで、仕事を覚えるのに大変な時。
初日以来、なかなかまともに話す機会もなかったのだ。