ガラスの靴をもう一度


「だけど川上くん。何で、あそこまで言ってくれたの?ヘタしたら、川上くんが不利になるのに…」

私がそう聞くと、川上くんは笑顔でサラっと答えてくれた。

「だって、萌ちゃんは毎回会議に熱心だろ?それに資料作成に残業したのを知ってるし」

「えっ!?何で?」

「実は、俺も営業資料を作りたくて、会社に戻ってるんだ。ちょうど萌ちゃんが帰るのを見てたから」

そうなんだ。

まさか、川上くんが戻ってきていたとは知らなかった。

どうやら、雅貴との事は見られていないみたいでホッとする。

「それなのに麻生さんに注意されるんだから、情けないけどね」

苦笑いで誤魔化してみたものの、やっぱり腹立たしい。

< 200 / 494 >

この作品をシェア

pagetop