ガラスの靴をもう一度
「だけど川上くん。何で、あそこまで言ってくれたの?ヘタしたら、川上くんが不利になるのに…」
私がそう聞くと、川上くんは笑顔でサラっと答えてくれた。
「だって、萌ちゃんは毎回会議に熱心だろ?それに資料作成に残業したのを知ってるし」
「えっ!?何で?」
「実は、俺も営業資料を作りたくて、会社に戻ってるんだ。ちょうど萌ちゃんが帰るのを見てたから」
そうなんだ。
まさか、川上くんが戻ってきていたとは知らなかった。
どうやら、雅貴との事は見られていないみたいでホッとする。
「それなのに麻生さんに注意されるんだから、情けないけどね」
苦笑いで誤魔化してみたものの、やっぱり腹立たしい。