ガラスの靴をもう一度
「社長におごってもらえるなんて、さすが麻生さんですね!」
羨望の眼差しで、川上くんは麻生さんを見ている。
「大袈裟よ。ちょっとしたトラブルを解決したからね。社長からのご褒美」
小さく笑った麻生さんは、私を一瞬だけ見て雅貴に顔を向けた。
「社長、もう一軒行きませんか?」
「あ、ああ…」
我に返った様に返事をする雅貴。
ボーッとしていたのが、私にも分かる。
「じゃあ、俺たちはこれで」
会釈をした川上くんが、歩きだそうとした時だった。
「ちょっと待って」
呼び止めたのは、雅貴だった。