ガラスの靴をもう一度
すれ違う気持ち
「はい…」
さすがに社長に呼び止められただけあって、川上くんの戸惑いが分かる。
雅貴…?
何だろう、一体。
麻生さんも怪訝な顔を浮かべ、変な空気が流れた時、雅貴がいつもの余裕のある笑顔を向けた。
「川上たちもまだ帰らないなら、一緒に行かないか?」
ええ~!?
何を考えてるのよ?
思わず声を出しそうになったのは、麻生さんも同じだったみたい。
「社長、お邪魔しちゃ悪いですよ」
止めようとする麻生さんを、雅貴は無視した。
「どうかな?」
社長に“どうかな?”と言われて、一端の社員が断れるわけがない。
きっと不本意だろうけど、川上くんは愛想笑いで答えたのだった。
「ぜひ、ご一緒させてください」