ガラスの靴をもう一度


1時間ほど滞在した後、私たちは解散した。

はっきり言って私には、最初の麻生さんの質問が頭にきて、楽しむどころじゃなかった。

だけど川上くんは、来年のニューヨーク勤務を見据えた目で、雅貴たちに質問をしていたんだから、器の大きさを感じる。

麻生さんの、嫌みたらしい質問に、気分は害していなかった様で安心した。

“萌ちゃん、気をつけて。また、メールするから”

帰り間際、タクシー乗り場まで送ってくれた川上くんは、笑顔でそう言って帰った。

麻生さんもタクシーに乗り込み、残ったのは私と雅貴だけ。

タクシー乗り場までは来たけれど、雅貴がいるから乗らないでいたのだった。

< 224 / 494 >

この作品をシェア

pagetop