ガラスの靴をもう一度


「萌…?」

雅貴はすっかり動揺した顔で、私を見た。

「私、雅貴の事は好き。だけど、前ほどの気持ちでは想えない」

「え…?」

ゆっくりと、でもはっきりと、それを口にした。

麻生さんの事を隠し続ける雅貴に、今までみたいな信頼が持てない。

過去の恋人、それだけなら教えてよ。

麻生さんが、それ以上の存在でないなら言えるはずだよ?

言えないって事は、どこかで迷いがあるからでしょ?

それを棚に上げて、私の事は縛るなんて、納得出来ないよ。

すると、雅貴は震える声で言ったのだった。

「ちょっと待てよ。本気で言ってるのか?」

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