ガラスの靴をもう一度
別れの決心


雅貴!?

どうしてここに雅貴が?

心臓が止まりそうなくらい驚いた私は、声の方へゆっくりと歩いた。

すると、廊下の隙間にある非常口の前で、雅貴と麻生さんがいたのだった。

「何考えてるって、川上くんに今夜のチケットをあげただけよ」

麻生さんは、問い詰める雅貴に悪びれもなく言っている。

二人に気付かれないよう、壁に体を預けて聞き耳だけを立てた。

「さっき、崇史から聞いて驚いたよ。萌もここに来てるって」

ああ、なるほど!

だから、崇史さんは青ざめていたんだ。

雅貴がいるから、それも麻生さんと…。

鉢合わせになるからだわ。

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