ガラスの靴をもう一度
「相手が悪いって、そんな…」
「といっても俺も社長秘書だから。機密情報に近い人物なだけに、莉子との付き合いも、おおっぴらには出来ないんだ」
へぇ。
それにしても、こんな冷たい崇史さんを、落とした原田さんて凄いけど…。
「何だよ?」
ジーッと見ていると、崇史さんがしかめっつらで言ってきた。
「いえ、別に」
カッコイイとは思う。
頭がいいとも。
だけど、崇史さんのどこが好きなんだろう。
私には冷たく映っても、実はすごく優しい人とか?
やっぱり、よく分からない。
「原田さんには内緒にしますから」
そう言った私に、崇史さんは意外な言葉を返してきたのだった。
「いや、いいよ。他のみんなの前じゃなければ、莉子に言ってもらって構わないから」