ガラスの靴をもう一度


「相手が悪いって、そんな…」

「といっても俺も社長秘書だから。機密情報に近い人物なだけに、莉子との付き合いも、おおっぴらには出来ないんだ」

へぇ。

それにしても、こんな冷たい崇史さんを、落とした原田さんて凄いけど…。

「何だよ?」

ジーッと見ていると、崇史さんがしかめっつらで言ってきた。

「いえ、別に」

カッコイイとは思う。

頭がいいとも。

だけど、崇史さんのどこが好きなんだろう。

私には冷たく映っても、実はすごく優しい人とか?

やっぱり、よく分からない。

「原田さんには内緒にしますから」

そう言った私に、崇史さんは意外な言葉を返してきたのだった。

「いや、いいよ。他のみんなの前じゃなければ、莉子に言ってもらって構わないから」

< 325 / 494 >

この作品をシェア

pagetop