ガラスの靴をもう一度
ニューヨーク
----久しぶりに、木製のドアを叩いてみる。
そう、社長室のドアを。
「はい」
と応える雅貴の声が、ほんの数日聞かなかっただけなのに、懐かしい。
今までと違い、社長室への出入りがだいぶ緩和されたお陰で、来やすくなった。
ただ皮肉にも、私たちが別れた後だけど。
崇史さんは、原田さんとの関係を私が知ってから、少し態度を軟化させている。
原田さんに話した時、“だから、崇史は詰めが甘いのよ”と文句を言っていたから、きっと怒られたんじゃないかな。
そういうのもあってか、崇史さんの態度は、以前の冷たさから変わっていた。