ガラスの靴をもう一度
すると、雅貴はゆっくりと私の側へ来た。
それだけで、私の胸は高鳴ってしまう。
心は正直よね。
決して、雅貴を嫌いなったわけじゃないもの。
「嬉しいよ。それはそうと、今日はどうした?」
「これ…。これを返そうと思って」
紙袋を差し出したけれど、中身をちらっと見た雅貴は、受け取らなかった。
「この靴は受け取る気はないよ。前にも言ったろ?俺は、萌への気持ちを捨て切ってないって」
「だけど、別れて欲しい気持ちは汲んでくれたじゃない」
「そうだよ。そうやって、お互いに距離を開けるのはいいと思ったから」
「だったら、この靴も…」