ガラスの靴をもう一度


といっても、いざ声をかけるとなると緊張するな。

麻生さんに。

それに、外出が多くて声をかけるタイミングが分からないわ。

戻ったかと思えば、また出て行くし…。

そうやって声をかけるチャンスを伺っていると、結局業務終了時間になってしまった。

「どうしよう…」

これじゃ、いつまでたっても声がかけられない。

「それでは、このまま直帰しますので」

麻生さんは部長たちに声をかけ、今日最後の営業へ出て行った。

マズイ!

とにかく、声をかけなきゃ。

「花ちゃん?」

黙って立ち上がった私に、原田さんが声をかけてきた。

「すぐに戻ってきます!」

そして、麻生さんの後を追いかけたのだった。

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