ガラスの靴をもう一度
「ねえ、社長。この営業が終わったら、ホテルに行かない?」
えっ!?
ホテル!?
かろうじて聞こえる会話に、呆然としてしまう。
麻生さんてば、なんて無防備な会話をしてるのよ。
すると雅貴は、腕時計で時間を確認すると、「いいよ。時間はたっぷりあるから」と答えた。
ちょっと待ってよ…。
二人でホテルだなんて正気?
すると麻生さんは、上機嫌で雅貴の背中を、軽く叩いたのだった。
「じゃあ、決まり。あの頃みたいに、雅貴を慰めてあげるから」
「それは嬉しいよ。だけど、体がもつかな?あの頃と比べたら、俺はオッサンだから」
そう言って笑いながら、二人は出て行ったのだった。