ガラスの靴をもう一度

あまりの食いつきに、原田さんは驚いた顔をしている。

雅貴の事では、知らない話が多すぎるのよ。

ニューヨークにいた事も、麻生さんがグループ会社にいた事も知らなかった…。

こうやって、雅貴と繋がっている人と話せば話すほど、隠し事の多さに愕然とする。

私が知ってる雅貴は、ほんの一部…、そんな気がしてくる。

誰よりも長い時間を、一緒にいたと思っていたのに。

「だからね、ニューヨークに行ってみたいの。それに、あそこなら実現しそうでしょ？」

「どういう事ですか？ニューヨークだと行き易いからとか？」

「違うわよ。崇史は社長秘書だもの。社長とニューヨーク勤務って話も、いつか出てきそうでしょ？」