ガラスの靴をもう一度


「ついて行くって、原田さんも転勤願を出すって事ですか?」

すると、原田さんは笑った。

「違う、違う。私がニューヨークで働けると思う?会社を辞めるの。その覚悟はあるから」

「辞める!?そんな…」

「あっ!花ちゃん、寂しいんでしょ?私もよ。私も花ちゃんと離れるのは寂しいわよ。でもね、崇史は反対しなかったから」

「仕事を辞めるって事をですか?」

そう聞くと、原田さんは頷いた。

「それって、ちゃんと言われたわけじゃないけど、私との未来を考えてくれてるって思えるじゃない」

「そうですよ…。それに、原田さんにそんな話をたくさんしてくれるんですから、不安に思う事なんて、何もないですよね」

羨ましいな。

どうして、私と雅貴がそんな風になれなかったんだろう。

どうして…?

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