ガラスの靴をもう一度


……誰?私にキスするのは。

優しく唇に触れる感触がある。

懐かしいこの唇は…。

………
……

「う…ん…」

頭が痛い。

目を開けて起き上がると、隣に雅貴が眠っていた。

「あれ!?そういえば私…」

原田さんと飲んで、雅貴に会って、それから…。

「それから?ここへ来たんだっけ?」

それで、眠っていたの?

慌てて携帯を見ると、時間はまだ4時だった。

全然眠れていないのに、眠くないわ…。

服もメイクもそのままで、だらしないったらない。

「雅貴はよく眠ってる…」

毎日、仕事で忙しいんだろうな。

静かな寝息を立てる姿を見ていると、何もかも無かった事にしてしまいたくなる。

だけど…。

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