ガラスの靴をもう一度


そうよ。

雅貴に返そうと思って、会社に持って行って…。

でも、受け取って貰えなかったから、持って帰ろうと思ったのよ。

原田さんと飲みに行った時に、店へ持って入ったのは覚えてる…。

それからは?

それから…、持って出たような違うような…。

どうしよう!

あれは、雅貴が初めてくれたプレゼントだったのに。

私のガラスの靴…。

辺りを見回しても、袋は見当たらない。

まさか、雅貴がしまい込むなんて事はないわよね。

受け取ってくれなかったくらいなんだし。

青ざめた私は、とっさに立ち上がり玄関へ向かった。

店に聞いてみよう。

それが違えば、警察に…。

慌てて靴を履いていると、

「萌、帰るのか?」

雅貴の声がしたのだった。

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