ガラスの靴をもう一度
「だから、一人で帰れるか心配で。タクシーで眠っちゃいそうな勢いだったから」
「ハハ…。大丈夫でした」
だから、雅貴は自分のマンションに連れて帰ってくれたの…?
私、よく分からないよ。
雅貴が分からない。
「そうだ。原田さん、私ゆうべ靴箱の入った紙袋を持ってたんですけど、記憶にありますか?」
「ああ、あのブランドの靴でしょ?目立つから覚えてるよ」
「私、お店を出た後も持ってましたよね?」
怖ず怖ず聞くと、原田さんは即答した。
「うん。持ってたよ。私と別れるまでは、持ってたけど…。まさか、なくなったの?」
心配そうに眉をしかめる原田さんに、私は慌ててフォローした。
「大丈夫です!心当たりはあるんで。それより、この事を真木さんには言わないでくれますか?」