ガラスの靴をもう一度


原田さんは、不思議そうな顔で小さく頷いた。

変に思われたかもしれないと心配になったけれど、それ以上聞かれなくてホッとする。

さすが、空気を読む先輩。

そして原田さんはデスクへ着き、仕事の準備を始めると、小さな声で言ってくれたのだった。

「靴、早く見つかるといいね」

「はい…」

だけど結局、その日を過ぎても、またその日を過ぎても、靴は出てこなかった。

原田さんと別れて、雅貴に出くわすまでの間に、どこで手を離しちゃったんだろう。

他に寄った場所はないのに…。

全然、思い出せない。

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