ガラスの靴をもう一度


これは、神様からも雅貴を忘れなさいと言われてるのかも。

シンデレラの魔法は解けちゃったんだわ。

今日もせわしい一日が終わり、ため息をつきながら会社を出る。

最近は、仕事をするにもやり甲斐を感じられない。

結局、雅貴の力になりたくて入ったつもりの会社も、雅貴に会いたくて入ったんだと分かった。

「ポッカリと穴が開いた気分」

重い足取りでビルを出る間際、

「萌ちゃん!」

と川上くんが声をかけてきた。

「川上くん…」

ニューヨークに来て欲しいと言われた返事が出来ないまま、いつまでも引き延ばしているわけにはいかない。

「川上くん、お疲れ様」

笑顔を向けると、川上くんも返してくれた。

「今、帰り?」

「うん。川上くんも?」

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