ガラスの靴をもう一度


「うん。今から帰り」

川上くんと並んで歩く事が、自然に感じてくる。

なんだか不思議。

雅貴以外の男の人と、歩いている自分が。

それを心地よく感じる自分が…。

「川上くん、今日時間ある?少しだけ、寄り道して帰らない?」

そう言うと、川上くんの表情は明るくなった。

「そうだね。行こう。萌ちゃん、どこへ行きたい?」

「そうだなぁ。川上くんが過ごした場所。そこへ連れて行って」

思えば、雅貴との空白の時間は6年間だけ。

だけど川上くんとは、重なる時間の方が限りなく少ない。

だったら、少しは見てみたいと思ったんだ。

川上くんの“今まで”を。

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