ガラスの靴をもう一度
ったく、何で崇史さんが私を睨んでるのよ。
まだ、何か言いたいのかしら。
睨み返すと、崇史さんはさらに眉間のシワを深くした。
何で、そんなに睨むのよ!
本当、相変わらず感じが悪い。
“ただいまのチュー”をバラしてやろうか。
なんて、上の空でいると、
「花井さん、聞いてる?」
容赦なく雅貴の注意が入ってきた。
「すいません…」
前回は、笑顔を向けてくれた雅貴も、今日は無表情のまま会議を続けた。
資料では、欧米の新車販売が好調だと書いてある。
お陰さまで、利益も前年を上回る予想とか…。
凄いな、雅貴。
こんな会社の社長だなんて、今さらながら凄い人と幼なじみだったんだと分かった。