ガラスの靴をもう一度


「そうなのか!?さすがだなあ、花井ちゃん。川上くんは、将来性抜群だから」

部長は豪快に笑いながら、照れ臭そうな顔を浮かべる川上くんの肩を叩いた。

雅貴に崇史さん、そして麻生さんの驚いた顔を見ると、原田さんはどこか違う人の噂で聞いたんだと思う。

「そうですよ原田さん。さすが、情報が速いですね」

「当たり前よ。こう見えても、顔は広いんだから。だけど、花ちゃん水臭いじゃん。真っ先に報告してくれてもいいのに」

口を尖らす原田さんに、申し訳なさそうな顔をして謝る。

「すいません…。まだ、恥ずかしくて」

なんて本当は違う。

崇史さんに、報告されたくなくて言えなかった。

できるだけ遅くあって欲しかったから。

雅貴に知られるのが。

それは、今さらだけど…。

「でも花ちゃん。もうすぐ川上くんは、ニューヨークだよ?遠距離だね」

原田さんは眉を下げて、気の毒そうに言った。

< 388 / 494 >

この作品をシェア

pagetop