ガラスの靴をもう一度
「はい…。でも、その事はちゃんと考えてあるので」
「おい、おい。まさか、会社を辞めて、ついて行くって言うんじゃないよな?」
部長は食いつく様にそう言った。
私は苦笑いをして、
「それは、まだ内緒です」
と答えたのだった。
自分なりに考えている事はある。
だけど今、ここで世間話の様な感覚で、雅貴に聞かれるのは嫌だった。
すると部長は資料を片手に部屋を出ながら、
「花井ちゃんがいなくなるのは寂しいなぁ」
と言っていた。
「ま、どっちにしろ花ちゃん、おめでと!きっとチーム川上の嫉妬は凄いだろうけど」
原田さんは、楽しそうにそう言っている。
「チーム川上って何ですか?」
「知らないの?川上くんのファンクラブよ。本当に人気があるんだから」