ガラスの靴をもう一度
「うん…」
そっと右手を差し出すと、川上くんは指を絡ませた。
「萌ちゃんの手って、小さいんだね」
「川上くんは、指が長い」
そう言った私に、川上くんはただ微笑んだだけだった。
こんな感覚は久しぶり。
雅貴と付き合い始めの頃を思い出すな…。
あの時は、雅貴に会える日が待ち遠しくて、声が聞けただけで嬉しくて…。
会えるだけで幸せで…。
「どうしたの萌ちゃん?つまらない?」
「えっ?ううん。違うの。ごめんね、ボーッとしちゃってた」
いけない。
川上くんと一緒にいるのに、さっきから雅貴の事ばかり考えてるなんて。
「もしかして、幼なじみの彼の事を考えてた?」