ガラスの靴をもう一度
川上くんの鋭い指摘にドキッとする。
「いいんだよ。だって、ずっと好きだった人なんだもんな。萌ちゃんが俺と付き合ってくれるのも、彼と何かあったからだろ?」
「川上くん!」
ダメだ。
私、川上くんを不安にさせてるんじゃないの?
話を変えようとしても、川上くんはそれを遮った。
「本当にいいんだよ。俺は気にしてないから。だから萌ちゃんも、変な罪悪感は持たないで欲しいんだ」
「川上くん…」
違う。
罪悪感じゃない。
私は、今でも忘れ切れてないんだもん。
雅貴の事を…。
それじゃ、いけない。
頭では分かってるのに。
川上くんからの手の温もりが、まだ心まで届かない。