ガラスの靴をもう一度
「も、もちろんよ」
ドキドキする…。
心臓が、凄い速さで波打つのが分かるくらいに。
そんなに、真っ直ぐの目で見つめないで。
心を見透かされそうで怖いから。
「じゃあ、キスしてもいいよね?」
「えっ…?」
キス?
突然の言葉に、動揺が隠せない。
それを悟った様に、川上くんは言ったのだった。
「俺じゃ、忘れさせる事は出来ないかな?幼なじみの彼を」
「川上くん…」
言葉が続かないよ。
やっぱり、本当に川上くんと付き合うなら、雅貴の事は話さなきゃいけない気がする。
でもそれは、今の私には出来ない。
幼なじみだからこそ、雅貴の会社に私がいる事が問題なんだもん。
私たちは、会社で知り合ったんじゃないから。
ずっと前から、お互いを知っていたのだから…。
「キスさせて…?少しでも多く、萌ちゃんの心の中にいたい」