ガラスの靴をもう一度


「も、もちろんよ」

ドキドキする…。

心臓が、凄い速さで波打つのが分かるくらいに。

そんなに、真っ直ぐの目で見つめないで。

心を見透かされそうで怖いから。

「じゃあ、キスしてもいいよね?」

「えっ…?」

キス?

突然の言葉に、動揺が隠せない。

それを悟った様に、川上くんは言ったのだった。

「俺じゃ、忘れさせる事は出来ないかな?幼なじみの彼を」

「川上くん…」

言葉が続かないよ。

やっぱり、本当に川上くんと付き合うなら、雅貴の事は話さなきゃいけない気がする。

でもそれは、今の私には出来ない。

幼なじみだからこそ、雅貴の会社に私がいる事が問題なんだもん。

私たちは、会社で知り合ったんじゃないから。

ずっと前から、お互いを知っていたのだから…。

「キスさせて…?少しでも多く、萌ちゃんの心の中にいたい」

< 395 / 494 >

この作品をシェア

pagetop