ガラスの靴をもう一度
「萌ちゃん…?」
すぐに私の異変に気付いた川上くんは、体を離した。
そして、心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「ごめんね…。私、変だ…」
慌てて涙を拭うと、なんとか笑顔を取り繕う。
なんて失礼なんだろう。
こんなんじゃ、川上くんを傷つけてしまう。
それとも、怒られる…?
だけど川上くんは、そんな私を優しく抱きしめた。
「萌ちゃんにとって、幼なじみの彼は、ただの片想いの相手じゃないんだろ?」
「え…?何で、そう思うの?」
川上くんの胸の温もりを感じながら、後ろめたさに引け目を感じる。
「なんとなく。キスして涙を流すくらいだから、彼をただ好きだったわけじゃないんだろうなって…」
川上くんには、お見通しなんだ。
それでも、こうやって抱きしめてくれる。
その優しさが、嬉しくもあり苦しかった。
「川上くん…。必ず、話すから。ううん。ちゃんと話したいから。だから、待っていて」