ガラスの靴をもう一度
「うん。萌ちゃんの気持ちが落ち着くまで、いつまでも待つから」
「ありがとう…」
しばらく、抱きしめ合っていた時、川上くんの携帯が鳴った。
「ちょっとごめんね」
そう言うと川上くんは、私の肩を抱いたまま電話に出たのだった。
それは、たぶん仕事関係だと思う。
なぜなら川上くんは、英語で会話をしていたから。
時々真剣に、時々フランクに、饒舌な英語で会話をしている。
その姿に惹かれない女の人はいない、そう思うのに…。
心の隅には雅貴がいる。
話したがっていた時、ちゃんと向き合えば良かった。
話しもせず、靴もあんな風になって、雅貴はきっと私を軽蔑してる。
私から、心が離れちゃったんだろうな…。
どうして、こんな事になっちゃったの?
それを後悔しても、もう遅い…。