ガラスの靴をもう一度
真実・2
しばらくして、川上くんは少しだけ笑顔を浮かべた。
「凄いな…。そんな話って本当にあるんだ」
「ごめんね。仕事を辞めてから、話そうと思ってたの」
「社長に迷惑がかかるって、そう思ったんだろ?」
小さく頷いた私に、川上くんはため息をついた。
もう、ダメだ。
これで、愛想を尽かされたに違いない。
「萌ちゃん、俺は後悔なく、一緒にニューヨークに来て欲しいと思ってる」
「川上くん、それは当たり前よ。私、真剣に考えてるから。それは、本当…」
すると、川上くんは手で話を制止した。
「萌ちゃんの気持ちは、分かってるつもりだから。だから、ちゃんと気持ちに素直になって。俺は、萌ちゃんを好きな気持ちに変わりはない」
川上くんの気持ちに、どうして即答出来ないのか。
それは簡単…。
やっぱり、雅貴に未練があるから。
それを川上くんは、確信してしまったんだと思う。